90年代に、セーラー服を着ていた元女子高生です。
地元のゆるい中学校を卒業し、それまでのシャツにジャケットというゆるい制服も脱ぎ捨て、恐ろしく厳しい校風で有名な私立女子高へ進学しました。
この学校は「カラス」とからかわれる真っ黒なセーラー服で悪名高きところです。
隣にもうひとつある別の私立女子高もセーラー服でしたが、こちらは周辺男子高生から「セクシー」と崇められていました。
同じセーラー服なのに雲泥の差なのです。
私も、決して制服で学校を選んだわけではなく、出来ればこの制服は勘弁して欲しいと思っていましたが、仕方がありません。
しかし、着れば着るほどこのセーラー制服の着心地の悪さは高まって行きました。
私の場合、とくに袖の部分が堅苦しく思われました。
余裕が有るのか無いのか、何となく拘束されている感じがします。
裾は短いので、挙手すれば脇腹が覗いてしまいます。
冬は指定のセーターを着せられましたが、いかんせん体とセーラー服の間にけっこうな隙間がある作りだった為、寒い思いをしました。
耐えかねて、セーラー服の下にも体にぴったり合ったセーターを着たりしていました(これも違反だったのですが・・・)。
また、胸元の部分に当て布が無い為にそこから中が見えるのにも気を使いました。
空気も通って、胸のうすい私のような女子はスカスカと気持ちの悪い思いをします。
極め付け、私の美的感覚が我慢出来なかったのはネクタイです。
隣の美制服女子高は、いかにも漫画に出てくるようなフワフワとした白いスカーフでしたが、我らがカラス高は細身のネクタイで、それがホックで取り外し可能なのです。
男の子の七五三衣装のような、いかにもとってつけた感が私には我慢出来ませんでした(うっかり片方が外れて宙ぶらりんになる子もいますが、これは無残としか言いようがありません)。
という訳で、私は高校3年間のセーラー服を「我慢」して着ていました。
ひどい校則にも耐えましたが、この着にくい制服もまた、高校での苦行の一環だったとしか思えません。
現在フランス在住で、ブルターニュの海軍バンドが伝統音楽を演奏しているのを見ると、心の底から「ああ、セーラー服かっこいい~」と思えます。
これだけクールな軍服を、いかに改悪したら我が母校の制服にまで落ちるのか、本当に首をひねるばかりです。